アズ50年展〜好きでマンガを描いていたら うっかり50年もたっちゃった!〜

あず関係者の原画&パネル展示。原画は4期に分けて入れ替え制

あず関係者の原画&パネル展示。原画は4期に分けて入れ替え制

 行こう行こうと思っていながらなかなかな行けなかった「アズ50年展」にようやくお邪魔してきました。同展は4月10日まで北九州市立マンガミュージアムで開催された「アズ50年展〜マンガ同人誌の半世紀〜」の巡回展となります。
 アズ漫画研究会は1966年、北九州市立思永中学校二年生の教室で壁新聞活動から産声を上げました。レベルの高い漫研には入りづらかったけど、マンガを描くのが大好きな中学生たちが始めた壁新聞は、翌67年に肉筆同人誌『アズ』へと進化します。肉筆同人誌とは漫画原稿や文字原稿を製本し、会員の間で回覧する同人誌の原点ともいえる同人誌スタイルです。当時は同人誌印刷会社も存在せず、コピーもまだまだ高価でした。肉筆誌『アズ』は1975年まで全19号を重ね、同年オフセット誌『あず』として再誕生します。

肉筆同人誌『アズ』創刊号。『COM』に倣ったデザインが当時の「熱」を伝える

肉筆同人誌『アズ』創刊号。『COM』に倣ったデザインが当時の「熱」を伝える


 アズ漫画研究会の歴史については、北九州展で制作された図録に詳しいのですが、残念ながら東京展会場での販売はありません(図録に掲載された年表は同研究会公式サイトに公開されています)。一口に50年と言っても、順風満帆ではなく、何度もの危機を乗り越え、本誌が休刊中は作品集を次々と刊行し、会を継続させ、現在では二世世代が活躍の場を海外にも拡げています。
陸奥A子さんの原画

陸奥A子さんの原画

 同研究会はその間、プロ漫画家、イラストレーター、評論家を輩出してきました。また、すでにプロデューしていた人も多数参加しています。例えば、原画が展示されている陸奥A子さんや文月今日子さんもそうですし、故・米沢嘉博さんもその一人でした。

文月今日子さんもメンバー

文月今日子さんもメンバー


 今回の東京展では超貴重な『あず』創刊号をはじめ、関連資料を多数展示しています。コミケ以前の同人誌創世記を知るには最適の展覧会と言えるでしょう。余談ですが筆者が中学生の頃、参加したサークルも肉筆同人誌を出す予定でしたが、創刊前に潰れてしまったので、極めて感慨深いものがあります。とはいえ、アズ漫画研究会は現在進行形で、若い世代も増加中です。同人活動史の史料としてだけではなく、継続や展開の実例としても、観て、知って損のない展覧会だと思います。
 なお、現在の第1期・壁面展示(原画&パネル)は4日(月)までなので、見逃したくない人は急いでください。

■イベント概要
会場:米沢嘉博記念図書館1階展示室
期間:2016年6月10日[金]~2016年10月2日[日]
※特別整理などで休館する場合があります。
同館HPで確認、または開館日時に電話にてお問い合わせください。

壁面展示の入れ替え
第1期 6月10日(金)-7月4日(月)
第2期 7月8日(金)-8月1日(月)
第3期 8月5日(金)-8月29日(月)
第4期 9月2日(金)-10月2日(日)

関連イベント
8月6日(土) 16:00-17:30
『アズの50年、マンガ同人の50年』
   伊藤明生(アズ代表)
   中村公彦(コミティア実行委員会代表、『ぱふ』元編集長)

9月3日(土) 16:00-17:30
『アズの新世紀、二世代にわたる活動の秘訣』
   たおゆか(イラストレーター、アズメンバー)
   しいたけ(イラストレーター、アズメンバー)

いずれも会場は明治大学米沢嘉博記念図書館 2階閲覧室
無料ですが会員登録料金(一日会員300円~)が別途必要になります。


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