不健全図書や優良映画を審議する東京都青少年健全育成審議会。傍聴が可能ということで、早速行ってきました。傍聴席は10席。早めに行かないとダメかもと思い、受付開始の15時ジャストに都庁に到着。
まだ都庁に行ったことがないという人のために書いておくとJR山手線新宿駅西口改札から出て、地下ローターリーを左に進み、ちょっと見つけにくいけど、動く歩道(都庁方面)に乗ればラクチンです。終点で外に出て道なりに歩くとと左側に見えてきます。全部歩くと10分以上かかります。
◆その他のルート
都営地下鉄大江戸線「都庁前駅」と都庁は直結しているので一番楽です。通勤通学に大江戸線使っている人にはおすすめ。
JR新宿駅西口の地下バス乗り場で、都営バスか京王バス(都庁循環)に乗って「都庁第一本庁舎」、「都庁第二本庁舎」、「都議会議事堂」下車。
JR新宿駅西口『新宿駅西口』バス停から『西新宿・都庁本庁舎方面』行きの新宿WEバス乗車、『都庁本庁舎』下車。
都庁についたら、第一本庁舎の正面玄関からずんずん入っていくと、受付にぶつかるので、右に曲がってエレベーターバンク前に進みます。
エレベーターバンクの向かい側に、受付票を書く台が見つかります。
受付票に氏名、住所、訪問先(今回は青少年・治安対策本部)などを記入し、エレベーターバンク左側の受付に持っていって一時通行証を発行してもらいます。
一時通行証を首から下げて、エレベーターバンク前の警備員に呈示し、ゲートを通過。
高層階行きのエレベーターで、北塔34階まで昇り、左側の青少年・治安対策本部に向かいます。
傍聴のある日は職員の方が案内に立っておられるので、そのまま受付に誘導されます。
受付兼待合室(というかパーティションで区切られた場所)で、傍聴申込書に住所、氏名、連絡先、一時通行証番号などを記入します。傍聴申込書は前もってダウンロードできますので、通行証番号以外を書いてプリントアウトしたものを持っていけば楽です。
さて、15時過ぎに到着したわけですが、傍聴人は自分を含めて3名でした。
平日の午後という時間帯ですから、勤めや学校がある人には厳しいですね。
これなら、もうちょっとゆっくり出てきてもよかったかな。
15時30分に審議会がスタート。
場所は治安対策本部執務室内34A会議室。
まず、先月の第676回審議会から、第27期東京都青少年健全育成審議会が始まっていて、委員の交代がありました。今回、一回遅れの形になりますが、廣田耕一本部長より、第27期委員のみなさんへのご挨拶があり、続いて新任の委員4名(自民2、公明1、民進1)の紹介とご挨拶。第27期の名簿は今回の議事録公開と同時に公開されるでしょう(メモ取ってませんでした!)
次に、条例に基づく事務の施行経過説明へと移ります。
経過説明は配布されたレジュメ「第677回東京都青少年健全育成審議会 次第」を読みながら進めます。
まず、「『東京都青少年の健全な育成に関する条例』に係る事務施行経過」は平成28年10月〜11月の間に行われた、審議会の実施、不健全図書類の指定の決定通知、講座、講演会などなどが行われました……と(いちいち読み上げるわけではなく、ざっくりと)説明。次は「平成28年度における条例の適用状況」として4月〜10月の不健全図書類の指定状況(13冊)と、優良映画等の推奨状況(3本)を説明。説明と言っても「指定(推奨)に関しては2〜3ページの表を参照してください」という感じ。そもそも委員のみなさんにとっては周知の事実ですから、軽くおさらいというところです。
続いて「東京都青少年健全育成協力員による環境浄化活動状況」の説明です。これは協力員が調査した数字を表にしてあるだけで、細かい説明はありません。いずれ、この表も公開される(過去分は参照可能)ので、見ていただければわかると思いますが、なかなか興味深いです。10月の協力員数は861名、活動者数は77名、調査店舗数は369店です。1人あたり約5店舗を担当したことになります。その調査結果によりますと、不健全指定図書類を販売している店舗は、なんとゼロ! 表示図書類(成年コミックや成年雑誌マーク付き)を販売している店舗は39店。つまりエロ漫画などを売っている書店は調査対象の1割強でしかないということになります。エロ漫画業界も大変です。このうち5店舗が区分陳列をしていませんでした。類似図書類(成年向けと思われる図書類)という区分があり、「これって調査員の主観?」と思われるかもしれませんが、おそらくコンビニの「成年向け雑誌」コーナーに並べられているコンビニのレギューレーションで「成年向け」扱いされている図書類だと思われます。扱いのある206店舗中201店舗が区分陳列しているところから見て間違いなさそうです。
次が青少年課職員による「立入調査等の実施状況」です。書店、映像ソフト・ゲームソフト店、カラオケボックス、漫喫、古物商などがその対象になります。興味深いのは立入調査の店舗数が思ったほど多くなかった点です。例えば書店とコンビニ合わせて12店舗にすぎません。協力員の調査店舗数とは大きな隔たりがあります。しかし、指定図書類の扱い不適切は逆に高確率で5店舗にのぼります。あやしい店舗をピンポイントで調査したのでしょうか? この調査について後で一委員より「調査地域が4区となっているが、これはどうしてか?」という質問があり、青少年課は「一年かけて東京都全体を調査するようにしています」と答えていました。最後に雑誌自販機の届出などの状況についてです。これも細かい説明はなしでした。絶滅危惧種の雑誌自販機ですが、都内では未だ27箇所に71台が設置されています。なんと先月より1台増えていました! ちなみに区部で一番台数が多いのは足立区(10台)、市町村では瑞穂町(16台)です。
続いて「調査・審議事項」に移りますが、ここからは傍聴不可ということで退出しました。長々と文章にしてありますが、時間的にはわずか15分間の傍聴です。もっとも審議会自体、30分程度で終わることも多いので半分近くは傍聴できたことになります。
傍聴不可の理由は、一部の審議会委員の匿名性を守るためです。もちろん名簿が公開されています。ただ、「公務員以外の委員」は議事録でもアルファベット表記され、一部委員と発言を結び付けることができません。審議事項まで傍聴可にしてしまうと、この「匿名バリア」がなくなってしまいます。
傍聴しやすくなったことは評価に値しますし、議事録も以前よりは改善されていますが、審議会の肝心の部分である「調査・審議事項」が傍聴不可のままでは、小池都知事が推進する都の審議会の公開推進からは、ほど遠いと言わざるを得ません。審議会委員は公の審議会において、都の意志決定に携わり、そこには税金が投入されています。それまでは「一般人」だったとしても委員になった瞬間から「公人」であり、審議会では責任ある発言が求められます。匿名でないと自由闊達な意見交換ができないという考えだとすれば、それは無責任でしょう。都民及び読者諸賢が、これまで蓄積された議事録を読めば、どれだけ「自由闊達な議論」と呼べる議論があったのかどうかはわかるはずです。(永山薫)