表現規制反対運動から新たな議員が誕生!

 2月19日、表現規制反対運動で有名な市民団体のコンテンツ文化研究会出身で外注のゲームシナリオライター、そして阿部知子衆議院議員秘書の経歴を持つ小泉しゅうすけ氏が、寒川町議会議員選挙にて見事当選を果たした。これで同会出身の議員はおぎの稔大田区議会議員に続いて2人目となった。当記事では、事務所開きと選挙戦の模様をお伝えする。
 

■2月4日、事務所開き

 町の支援者をはじめ表現規制反対運動の関係者、現職の議員も駆けつけ、町議会選挙にしてはめずらしい大変華やかな事務所開きとなり、最良のスタートを切った。
 事務所開きでは豪華な面々がゲストとして挨拶をし、はじめにNPO法人うぐいすリボンで理事を務める荻野幸太郎氏は
「小泉君のことで印象に残っているのは、東日本の震災の少しあとのことだったんですけど、避難所の皆さんは本が読みたいとおっしゃったんですね。そのときに小泉君は自動車にいっぱいのマンガを積んで、福島まで車を運転していったんですよ。それで、小泉君が行ったときにみんな喜んでくれたんです。小泉君のようなおもしろくて行動力のある人が地域にいるとほんとうにいいなと思います」
と震災時のマンガに係わるエピソードを語った。

 続いて、保坂展人世田谷区長が挨拶。保坂区長は
「小泉君とのお付き合いは長くてですね、私は以前国会で法務委員会、今問題になっている共謀罪とか、そういったことをずっと議論していた当時、マンガの規制の問題が出てきます。児童ポルノを規制しようという中で、マンガも一緒に規制しちゃえというような乱暴な話があってですね、かなり危機感が若い方に広がって、小泉君たちとはロビー活動、国会議員を訪ねるという中で知り合ったんじゃないかなと思います」
 と、表現規制反対運動が馴れ初めのきっかけであることを話した。

保坂世田谷区長(左)と小泉しゅうすけ氏(右)。

保坂世田谷区長(左)と小泉しゅうすけ氏(右)。

 国政からのゲストでは、後藤祐一衆議院議員(民進党)が
「農業を応援するということなんかもHPに書いてあって、私は都市農業議員連盟の会長を務めていまして、都市農業に関係する議員立法もおととし成立しましたから、いろんなかたちで組める部分はあると思います」
 と小泉氏の政策に触れ、同じ農業政策を大きく掲げる議員として国と地方での連携の可能性について述べた。

 そして、主役である小泉しゅうすけ氏は、挨拶の中で
「今まで私は衆議院議員阿部知子の秘書として、寒川の町内を歩いて皆さんのことはお伺いしてきたのですが、そうした中で皆さんの1人1人の声を掬い上げる政治を、国とか上のほうからではなく町や市、そういうところから掬い上げていくために寒川町議会選挙に立候補させていただきました」
 と、地方政治ならではの有権者1人1人の声を大事にする政治を行うことをあらためて強調した。

挨拶をする小泉しゅうすけ氏。

挨拶をする小泉しゅうすけ氏。

 最後に、遅れて到着した阿部知子衆議院議員(民進党)は、
「実は本人のことをすごく心配していました。まず土地っ子ではありません。私の秘書をやったといっても1年半そこらです。まだまだこの町をどう良くするかを皆さんに教えていただかなければいけない、ひよこのひよこにもなっていないところでございます。でも本人がどうしてもやりたいと、この町が好きだと言うので、私がまだ早い、やめておけと言っても言うことを聞きません」
 と、元上司として部下を心配しつつ終始笑いを誘う挨拶で事務所開きを締めた。

左から、後藤祐一衆議院議員、小泉しゅうすけ氏、阿部知子衆議院議員、保坂展人世田谷区長。

左から、後藤祐一衆議院議員、小泉しゅうすけ氏、阿部知子衆議院議員、保坂展人世田谷区長。

 

■山田太郎前参議院議員をはじめ豪華な面々が応援に入った選挙戦

 2月15日、前日から始まった寒川町議会選挙に挑戦中の小泉しゅうすけ氏の応援に、前参議院議員の山田太郎氏が駆けつけた。山田氏は、小泉氏とともに街宣車に乗ってマイクを取り、町内を2時間ほど駆け巡った。

 応援に駆けつけた山田氏は、去年の参院選で政策の1つに表現の自由を掲げ、個人で29万票を得票したことで大きな話題を呼んだ人物だ。今回小泉氏は、定数18に対して17位当選(※1)ということで、結果からするとかなり厳しい選挙戦を強いられたわけだが、山田氏は寒川町での市町村別得票数では106票(※2)を獲得しており、山田氏の応援によっていわゆる「山田太郎票」が小泉氏の当選に結びついた可能性が考えられる。

選挙カー前で固い握手をする小泉しゅうすけ氏(右)と山田太郎前参議院議員(左)。

選挙カー前で固い握手をする小泉しゅうすけ候補(右)と山田太郎前参議院議員(左)。

 ほかにも選挙期間中、国政からは真山勇一参議院議員、牧山ひろえ参議院議員(共に民進党)が応援に駆けつけた(小泉氏HPより)ということで、応援演説に国会議員が名を連ねたことも今回の勝因の1つになったと言えるかもしれない。

応援演説をする真山勇一参議院議員(左)と手を振る小泉しゅうすけ氏(右)。写真は小泉氏HPより。

応援演説をする真山勇一参議院議員(左)と手を振る小泉しゅうすけ氏(右)。写真は小泉氏HPより。

 また、表現規制反対派からは、ろくでなし子裁判、CG児童ポルノ裁判の弁護を担当している山口貴士弁護士が、最終日に駆けつけた。

左から、杉野直也コンテンツ文化研究会代表、小泉しゅうすけ氏、ろくでなし子裁判、CG児童ポルノ裁判を担当している山口貴士弁護士。写真は小泉氏HPより。

左から、杉野直也コンテンツ文化研究会代表、小泉しゅうすけ氏、山口貴士弁護士。写真は小泉氏HPより。

 しかし、小泉氏は「子どもたちの笑顔があふれるまち・寒川に!」というキャッチフレーズとともに、子どもや若者からお年寄りがともに助け合えるコミュニティの形成を目指しており、また事務所開きでの挨拶でも述べていたように、町民1人1人の声を掬い上げる政治を掲げていた。もちろん上記のような応援による得票もあったであろうが、最終的には小泉氏の小さな声を拾う姿勢と、それによる町民からの人望が今回の選挙戦を勝ち抜けた最も大きな要因であったに違いない。

 小泉氏には、これからは表現規制反対運動や議員秘書時代に培った経験を活かし、寒川地域の活性化に尽力してもらいたい。小泉しゅうすけ氏、いや、小泉しゅうすけ寒川町議会議員の今後の活躍に期待が持てそうだ。

当選確定後、ダルマに目を入れる小泉しゅうすけ氏。

当選確定後、ダルマに目を入れる小泉しゅうすけ氏。荻野幸太郎氏(@ogi_fuji_npo)のツイートより。

(宇野ケイ)

小泉しゅうすけHP(http://koizumi-samukawa.sakura.ne.jp/
※1 寒川町HP、平成29年2月19日執行 町議会議員選挙 開票結果(http://www.town.samukawa.kanagawa.jp/soshiki/senkyo/senkyojimu/somu/info/senkyokekka/H29_2samukawamatigikaigiinsenkyo/1487228314141.html)を参照。
※2 得票数は、総務省HP神奈川県候補者別市区町村別得票数(http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/data/sangiin24/sangiin24_8_14.html)を参照。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です