『マンガ論争20』コミケットC95にて3日間連続先行発売します!



■今回は永野のりこさんの華やかな表紙が目印!

■特設スペースは東京ビッグサイト東4入口から入って左の壁際です
 今回もギリギリの綱渡り進行でしたが、印刷会社ねこのしっぽさんのご海容をもちまして発行できます。いやもう、毎度毎度申し訳ありません。
 ◆発売時期:12月29〜31日の三日間先行発売となります。
 ◆発売場所:東京ビッグサイト東4入口から入ってすぐの左側壁際です。都バスさんのお隣のはず。
 ◆会場特典:永野のりこさん特製ポストカード(表紙イラスト)
 小誌は小部数のミニコミ誌ですので、このところ完売が続いており、必要とされている方全員にまでは行き渡らず、ご迷惑をおかけしております。会場で完売はしないと思いますが、保証はできません。電書化予定で増刷はありません。現品限りですので、お早めにね。

■永野のりこ超ロングインタビュー

 表紙イラストは『GOD SAVE THE すげこまくん!』、『電波オデッセイ』、『みすて♡ないでデイジー』、『ちいさなのんちゃん』等々の名作で知られる永野のりこさんにお願いしました。巻頭超ロングインタビューも、もちろん永野さんです。今年、日本SF大会ジュラコンにおいて、永野さんが堂々の星雲賞及び暗黒星雲賞のW受賞に輝き、なおかつジュラコンのゲスト・オブ・オナー、さらには、「おぼろげ絵画教室」チャンピオンという四冠を達成されましたことをお祝いしたい! そんなわけですので永野さんファンは当然として、マンガ好き、SF者にもマストな一冊です。
 インタビューは『まじょっこソンソン』から幕開けし、SF不遇時代の苦労話、SF遍歴、そして永野さんの主要な、ほぼすべての主役たちの抱える痛ましいまでの「自分はここにいていいの?」という居場所のなさに焦点を当て、永野ワールドの深いところに降りていきます。後半は、おきあがりこぼしプロジェクト、お父様の実家がある福島県双葉町の帰還困難地域訪問、アウシュビッツ=ビルケナウを巡る旅に触れ、人類の悲惨とそれを記録し、語り継いでいくこと、また、先日急逝した高取英さんのことにも触れさせていただきました。
 なお、下記のリンクの内、『アレ!アレ!!(1)』は、Kindle版新刊、『コロコロアニキ2019冬号』にはすげこまくんが登場しています。

 

 

■物議を醸すかもしれないインタビュー特集

 もうひとつの目玉企画は、「インタビュー特集」といたしまして、5名の方々にご登場いただき、訊きにくいことも含めねほりんはほりんしてきました。
 まず、都議会議員の西沢圭太さんには「東京都人権条例って、あれ問題あるんじゃないですか? 表現問題とかかわってきませんか? 実効性あるんですか?」と迫り、無駄に感じの悪いヤマベンこと弁護士・山口貴士さんには「ブロッキングについて……」て訊こうと思いましたが、山口さんとマンガ家さんがどうやって漫画村の発信者を特定したかってあたりは、すでに報道されていることなので、軽く教えていただいて、あとは緊急課題である「静止画ダウンロード規制」についてうかがい、山口さんの人権理論をレクチャーしてもらいました。前参議院議員の山田太郎さんには、民対民に遷移してきた自由にかかわる対立図式、著作権法の問題、さらに「来年の参院選どーすんですか!?」を含めた今後の活動について質問しました。で、大田区議の荻野稔さんには例の「カードを悪徳業者に渡してしまい、それが詐欺に使われて、被害も出てしまい、被害者に謝罪・弁済したけど、政治生命の大ピンチに!」という一件につきまして、「何をやってんですか!」と詰めてきました。読み返してみると永山も「馬鹿だろお前」とか相当キツイこと言ってますね。最後は元参議院議員の松浦大悟さんが登場。「何故、保守系論壇誌に登場したんですか? LGBT運動ってどうなんですか? 小川榮太郞さんと飲みに行ってどうだったんですか?」とみっちりたっぷり訊いてきたという次第です。

■第1特集は「有害図書って何だよ!?」と編集長お怒りのご様子

 一発目は「破綻した軽減税率欲しさの有害図書追放作戦」。もうこの件ではずーっと怒りっぱなしです。出版人全員が矜持を失ったわけではないと思いますが、新聞業界に続いて、政権に膝を屈した事実は歴史に残ります。今後、規制推進論者の議員、団体、一市民から
「御社の少年マンガ誌にはこんなひどいマンガが掲載されていますが、有害図書は追放するって言ってましたよね。ヤル気あるんですか」
 と詰め寄られる事態も想定できてますか? 国会に呼ばれて吊し上げられるかもしんないですよ。あっそうか、そうならないひょうに自主規制を強化するんですね、きっと。それで、
「有害図書類は追放しました」
 って胸を張って、再チャレンジするんですね? 
 そもそも他人様が命削って(例外あり)作り挙げた本を他人がロクなエビデンスもなければ、基準すら示せていない状態で「有害」とはなんだよ! よくもまあヘッチャラで侮辱できますね。読者、政治家、行政が「有害」というのはまだ許せますが、出版人が自ら使う言葉ではないと重いまま素す。
 おっと、また怒りが……。はやく迷妄から醒めていただいきたいものであります。
 続いては、「有害図書指定の現状」です。山田太郎さんのメルマガ『僕たちのニューカルチャー 山田太郎メルマガ』に断続的に掲載していただいた「日本全国青少年健全育成条例の旅」のリミックス版です。再録すればいいやと思っていたら新情報があったり、再録しようにも尺が長すぎるという理由で、掲載分をベースにリライト、リミックスしました。今回は北海道の議事録とってませんでした(テヘペロ)問題から、しかし30年前の本を今さら有害指定する北海道って一体? その他『マンホール』、『アイアムアヒーロー』の2、3巻をはじめ、結構な量の一般コミックを有害図書指定している長崎県の事例、暴力団ネタの実話誌を指定し続ける福岡県の事例などを紹介。調べれば調べるほど、ルーティンなお役所仕事で、一体全体、青少年行政のレベルというものを垣間見られた感じですね。
 三本目は冬号恒例「2018年東京都不健全図書類カタログ」です。男性向け7冊、女性向け14冊とどんどん女性向けジャンルが水を拡げています。女性向けは100%BLです。しかし、東京都もお目が高い! 神戸ゆみやさんの『本日はお日柄もよく…』、理原さんの『パブリック・セックス』、鬼丸すぐるさんの『セックスフレンド』、山本直樹さんの『分校の人たち3』、南志都さんの『心肺停止から始まる恋もある▼』、星屑ノユさんの『異常愛執淫靡録1』、大見武士さんの『淑女たちの都市伝説』、八月薫さんの『本当にあったたまらない話』、蔓沢つた子さんの『嫌いじゃないけど人間ってコワイ!!』等々、読んで損のない秀作率高し! 今回は議事録の出足が悪いこともあって短評多め仕様。

そろそろ搬入の準備に入ります。随時更新しますので、内容紹介の続きは後刻。

■ダウンロード違法化、パブコメは1月6日〆切

 搬入完了しました。続きです。
b第1特集の最後に1ページコラム「静止画ダウンロード違法化・処罰化の是非を問う! まだ間に合う! パブコメ提出は1月6日まで!!」を掲載。パブコメ募集にわざわざ「留意事項」をくっつけて、言い訳しまくっているんですが、かえってツッコミドコロ満載になってしまったという、お話です。「サイトブロッキングなしには海賊と戦えません」って言ってたのに「ダウンロード規制でも一定の効果があります」みたいなことを言い出しているんですから笑うしかありません。しかも、「著作権侵害ファイルであることを知りながら、ダウンロードをした場合違法」という趣旨のことが書いてあったりします。しかも「親告罪」なので、被害者が訴えて、立証しないと成り立ちません。「だから安心してくださいね、先に違法化された音楽・映像についても今のところ一件も摘発されていません(趣旨)」って最初から使えない法律を作ります宣言とどう違うんですかね。要するに抑止効果、萎縮効果を狙っているとしか思えません。過度の自主規制が起きることをむしろ期待してるんじゃないでしょうか? こんな法律はいらんです(個人の見解です)。
■文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会中間まとめに関する意見募集の実施について 
■弁護士山口貴士大いに語る「静止画や小説等ダウンロードの違法化/処罰化に強く反対する」
■文化研究者・山田奨治の仕事 包括的ダウンロード刑事罰化(1):「主観要件」の危うさ 
               包括的ダウンロード刑事罰化(2):ユーザーの懸念は出てこなかった? 
               包括的ダウンロード刑事罰化(3):それでも絵師修業はできますか? 
               包括的ダウンロード刑事罰化(4):調査・研究・批評が後退する 
               包括的ダウンロード刑事罰化(5):何が決定的に欠けているのか 
               包括的ダウンロード刑事罰化(6):パブコメ作成のポイント 
■文化庁中間報告から読む静止画・テキストのDL 違法化の問題点と構成要件 
■「静止画ダウンロード」の違法化を行わないで下さい(署名サイトchange.org) 

■第2特集は2018年下半期イベントのまとめ

 アフターレポート第1弾は温泉半熟卵さんが参加したアイマスライブ。開催地である前橋市の神対応を、現役オタクならではな熱き筆致で報告してくれました。地方自治体とコンテンツのコラボを成功に導くのは何か? ということを考えさせてくれます。多様性を楽しむ余裕みたいなものかなあ? とも感じましたが是非、ご一読を。
 第2弾は永山薫のミニ講義+山本直樹さんと永山のDONDEN読み(マンガを関連する文庫、新書と合わせて思考する)発表、松岡正剛さんを交えた鼎談という異色の取り合わせのイベント「DONDEN祭」。永山が何を読み、山本直樹さんが何を語るか? それを松岡さんというカリスマ編集者がどう料理するのか? 実は永山は松岡さんの不肖の弟子で40年振りの再会だったという裏のドラマも。宇野ケイによるレポートです。
 続いては劇団スタジオライブの2019年公演、萩尾望都原作の『なのはな』記者発表会レポート。同作は3.11大震災・原発事故の後、ひとりの少女が出会う不思議なできごとを軸に、福島原発とチェリノブイリ原発の被災地を結ぶ浄化と再生の物語。男性俳優のみのスタジオライブがどんな世界を紡ぎ出すのか? 記者発表では、脚本家・倉田淳、原作者・萩尾望都、客演の明石隼汰の鼎談もあり、期待が大きく膨らみました。
 最後は例によってイベントを一気に紹介。ほぼ編集長日記です。

■第3特集は2018年のマンガ

 これも冬号恒例の年末企画。各分野の専門家が一年を振り返ります。とはいえ「論争」はフリーダム。他誌の年間ベスト点とは一味違う批評的な総括となっております。男性マンガ編では佐藤圭亮副編集長が電子市場をテーマに書き、女性マンガ編では川原和子さんとヤマダトモコさんの10時間に及ぶチャットセッションを収録。エロマンガ編は稀見理都さんが統計的な観点から商業と同人について考察し、新野安さんもまた同人誌発の商業単行本について触れて論述。同人誌界編では国里コクリさんがここ一年のジャンルの傾向分析、即売会のトピックを紹介、さらに二次創作とガイドラインについて考えます。アニメ編は小川びいさんが女性監督の台頭という新しい息吹と、逆に中止があいついだという問題点を指摘。日本における海外マンガ編は小田切博さんが、ジャクリーヌ・ベルントさんの話から、マンガ研究の国際化のためのマーケット意識へと運び、現在の翻訳コミックの動向、社会派グラフィックノベル、縦スクロールマンガの受容が進んでいること、キャラクタービジネスと幅広い視野で概括してくれました。中華圏編はまず、初登場のやまだえむさんが台湾の状況を、おなじみ店主松田さんが香港の状況を2015年以降の中華圏(中国語圏)のマンガとマンガ業界の動向を回顧的に紹介。復刊マンガ編は才生文佳さんが復刊状況と同時に、川崎市市民ミュージアムのサイトで貴重な江戸〜明治時代のマンガとマンガにつながる絵手本や戯画の公開について触れいるので、研究者と趣味人双方にお知らせしたいと思いました。最後は訃報編。人はいつか必ず亡くなるわけですが、今年は筆者の知人・友人を喪ったためか、訃報編を執筆しながらしみじみと感じ入るものがありました。合掌。

もう体力的に限界がきたので、また明日。

■2019コミケ4日間開催決定の経緯など

 巻末インタビューは、これも冬号恒例の市川孝一コミケット準備会共同代表インタビューです。今回は2018年の振り返り、そして注目の決定、2019年のコミケが夏冬共に4日間開催決定に至った経緯を市川共同代表に直接語っていただきました。
 なにしろ東館全体が使えないんだから、青海新会場と西館、南館でやるっきゃない。そうなると必然的サークルの落選率が上がってしまう。どうするか? 会期を4日間にするしかない。というお話なんですが、参加者への対応、警備等々、課題が山積み。もちろん来夏に間に合うように調整していく必要があるのですが、最終解答はまだ出ていません。
 これが2020年になると5月開催予定ですが、詳細まではまだまだ。ただ2020冬は西、東、南の計16ホール。ピンチの後のチャンスで規模拡大となります。
 その他、ブロッキング、ダウンロード規制、軽減税率問題、クレジットカード会社による規制、民民規制など、今最もホットな話題についても意見を交換しました。

■連載マンガ陣も充実
 注目のマンガ連載陣。まず、一番バッターは「ろくでなし子先生のマンガが読めるのはマンガ論争だけ!(ネットは別腹)」というわけで、なし子さんの「わたしがヅラをかぶる理由(ワケ)」と題するエッセイマンガ。なし子さんと言えば、ページボーイボブというかオカッパのウィッグという印象。この印象が強すぎて、ウィッグなしの、なし子さんがネット会議に出たきた時には「誰や、この人?」と思いました。
 飯田耕一郎さんの「マンガたちよ!」はイラスト入りエッセイのスタイルで、故みやわき心太郎さんの中野時代の想い出。しかし、みやわきさんの「中野の不夜城」は、たびたび作品にも登場しているそうなので、愛読者は要チェック。しかし、みやわきさんの交遊関係は豪華です。なにしろ、ご近所の大矢ちきさんがよく遊びにきていたとか、原稿を落としそうになった大友克洋さんをアパートに呼んで(詳細は本誌にて)……とか、すごすぎますね。今回の後半は、急逝した高取英さんを送る、追悼に宛てられています。筆者も高取さんはご縁のあった方なので、しみじみと読ませていただきました。
 谷口敬さんの「超おフランス漫画」も第3話。富豪一家の令嬢・花子が、フリーメイソンの社交パーティにデビューするが……。詳しくは書きませんが、波乱を予感させる展開になっておりまして、この続きが読めるのは5月か8月という現実が悔しいです。山形県民には特におすすめです。
 中山蛙さんの「蛙の漫画雑記帖」はいよいよ第二楽章に突入。蛙先生が妹(中山星果)さんを巻き込んで同人誌を作るお話で、故・和田慎二さんもちょっぴり登場。時代はコミケ直前にまで迫ってきましたが、それと同時に蛙先生の後の仕事につながるバイクとの出会いも。
 あびゅうきょさんの「あびゅうきょ妄言通信 出張編14」は「『萌絵』焚書を渇望する人々」と題して、昨今の萌え絵バッシングを鋭く抉り、ナチに頽廃芸術とされたムンクへと展開してくれます。
 以上、駆け足で内容を、お知らせしました。C95のアフターレポートはお正月にでも。

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