■2010年代の集大成!
宮西計三さんといえば三流劇画全盛期に、ひときわ異彩を放った作家だ。彼の描く世界は漫画の形をした「詩」であり、「音楽」だった。
類例のない作品を描くことこそが創造の核心であるとすれば、宮西さんは最初から現在まで核心を全うした数少ない創作者の一人だろう。
現在は漫画ではなく、仕事の中心は絵画に移行している。漫画の枠から解き放たれ、存分に時間をかけて絵を描く。そのいちいちがとてつもない絵なのである。銅版画のような、ハンス・ベルメールを思わせる細密なペンとインク描線。
いずれは作家論を書きたい一人だ。
個展の会場は阿佐ヶ谷ギャラリー白線。期間は12月29日まで。
ひときわ素晴らしいのが「薔薇色の裁縫店を覗きて見れば、踊る陰毛シューシューと、声上げ跳ねるマルドロールのお針子むすめ」と題された作品だ。これを観るためだけでも阿佐ヶ谷に行く価値はある。現物を観る残り少ないチャンスだ。
期間中は宮西さんが在廊している。
お手頃価格のリトグラフ、Tシャツ、ポスター、ポストカードなどもあるので気軽に覗いて欲しい。個展の案内状を10枚ほどいただいてきたので欲しい人にコミケで配布しますよ。
筆者は宮西さんの自伝小説を電書化しようと計画中。昨年から打合せを続けているが、主に筆者の事情で遅れまくっている。2020年にはなんとかします。
下記は宮西さんの著作。遠藤ミチロウのユリイカ増刊には作品が掲載されている。
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