特別連載再開! ダーティ・松本×永山薫 エロ魂!と我が棲春の日々(10)

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■痴漢漫画家・小多魔若史の伝説

永山 小多魔若史さんは?

松本 最近、消息聞かないなあ。生きているのか? 刑務所にいるのか? 痴漢で刑務所ってあんまりないだろうな。

永山 う〜ん、聞いたことないですね(笑)。

赤塚賞
松本 最初はジャンプに投稿して赤塚賞(※1)の佳作。3万円。これで、「オレもやれるんじゃないか」と。

永山 人生が狂っちゃった。狂わなかったらただの痴漢だった。

松本 そうそう(笑)。それで柳沢きみおさんところのアシスタントに。ファンの女の子をやっちゃった。

永山 その話は本人から聞いたんですか?

松本 そうそう。それが先生に知られてクビになった。そういえば柳沢さん、ネットに記事が出てたけど大変みたいですね(※2)。

永山 えーっ!? そうなんですか! 『ど根性ガエル』の吉沢やすみさん(※3)も一時ひどいことになってたみたいですよ。娘さんが漫画にしてます。パチスロにはまって。それが今、いいおじいさんになってる。柳沢さんは『特命課長只野仁』がヒットしたから貯えあるんじゃないですか?

松本 なんか使っちゃうみたいですよ。すっからかんみたいですよ。

永山 ひえええ! 調べてみます。

松本 我々と比べたら大ヒット出してるのに。若い頃、稼ぐとバンバン使っちゃうみたいですね。

永山 編集者が金使わせるって話もあります。仕事させるために、車買えだの、家買えだの。飛行機買わされたヤツまでいる。しかもその飛行機が墜落したって。飛行機買うと維持費大変みたいですよ。家に置いとけないから、飛行場に格納庫が必要じゃないですか。整備が必要じゃないですか。

松本 買う時にそんなこと考えないんですかね。

永山 考えないんでしょうな。

松本 佐藤まさあきさん(※4)の豪邸。家の中に滝がある。維持費大変だったみたいだけど、渦中にいると気が付かないんだよな。ずっと金が入ってくると思っちゃう。

永山 脳から変な液が出ちゃうんじゃないですかね。脳内物質が。

松本 あがた有為(※5)さんも一生仕事あると言ってたけど、もう雑誌がないじゃん。

永山 ネットでやっても儲からないし。

松本 小多魔若史が痴漢した女がカミさんになった話は、自分の『痴漢日記』(※6)って本にも書いてあったし、テレビでも使われたエピソードです。電車で痴漢してて、睨まれたんだけど、その日、下北の飲み屋に行ったらその人がいて、それから付き合いだして結婚した。「テレビで痴漢の話しているのはネタだから、シャレだから、ホントのことじゃない」って奥さんに言ってたらしい(笑)。

永山 でも、奥さんに痴漢したのがきっかけじゃないですか。奥さんはその話信じたんですか(笑)。

松本 そこはうまいことごまかしたんじゃないすか(笑)。

永山 続いているんですか?

松本 別れたって話は聞いてないから、上手くいってるんじゃないですか。子供はいなかったですね。でも、カミさんともちゃんとやって、風俗でやって、痴漢もやって、人妻と浮気して、オナニーもきっちりやって……(笑)。やることきちんとやってるのが凄い!

犯罪履歴

永山 この辺の、1万人以上ってデータはどうなんですか?

松本 実際、それくらいしてるでしょう(笑)。なんかでニュースかなんかになったって聞いたけど、ホントかどうかわからんないなあ。

永山 今のところ、先生は小多魔先生に訴えられてない(笑)。

松本 確認取れてますけど。

永山 これ「集英社の更衣室」ってバッチリ書いてますけど(笑)。

松本 それはマズイな。大丈夫かなあ。知らないよオレ(笑)。

永山 アシスタント時代ですかね?

松本 かなぁ? テレビ局女子アナ。これもそうだし。

永山 テレビに出てた頃の話ですかね?

松本 テレビに呼ばれて、現役痴漢として。

永山 しかし1万回以上って(笑)。

松本 行くでしょう。毎日のようにやってんだから。一回行けば10人くらい触るでしょう。


■脚註

※1:1974年下半期からスタートした集英社主催の少年誌ギャグ漫画の新人賞。現在でも続いているが、ハードルが高く、入選者は5名しか出ていない。平成2年上半期(第32回)の八木教広「UNDERMAN」以降、準入選や佳作は出ても入選者なしが続いている。小多魔若史は第1回の佳作を獲得。準入選者に江口寿史(第6回)、ゆでたまご(第9回)、あろひろし(第13回)など、佳作に小林よしのり(第4回)、徳弘正也(第17回)、渡辺航(第31回)、うすた京介(第34回)、島袋光年(第43回)などがいる。

※2:「天地真理」が激白! 「柳沢きみお」も瀬戸際! 誰でも危ない「老後破産」の共通項を検証する」(『デイリー新潮』)『週刊新潮』2015年10月1日号掲載)

※3:大月悠祐子『ど根性ガエルの娘』(『週刊アスキー』)

※4:佐藤まさあき(さとう まさあき)。1937-2004。劇画工房のメンバー。さいとう・たかをと並ぶ劇画界の大物作家。代表作『堕靡泥の星』(1974-1975)。室内に滝のある豪邸はテレビで観た記憶があるが、高級旅館か! と思った。

※5:あがた有為(あがた うい)。1949年生まれ。1971年デビューのエロ劇画家。『青い性獣たち』(1985、けいせい出版)、『女子高生・危険信号』(1987、ミリオン出版)、『官能中毒家』(2000、ソフトマジック)など多数。原作者としては『むさしの無』(2014、ふくしま政美、ゴマブックス)がある。

※6:『痴漢日記』(1994,ベストブック)は山本さむ名義の単行本(劇画ではない)。5万部突破のヒット作となる。富岡忠文監督のVシネマ作品『尻を撫でまわし続けた男 痴漢日記』(2004、東映ビデオ)の原作。同シリーズの第2作以降のクレジットに「原作」の表記はないようだ。



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