■松浦ダイゴ(大悟)さんと小誌
松浦大悟さんの名前を聞いてもピンとこない人もいるかと思いますが、2007年から2013年の参議院議員在任期間中、二次元規制に待ったをかけてくれた数少ない議員さんの一人です。
松浦さんは神戸学院大学卒、秋田放送アナウンサーとして活躍後、2007年の参議院議員選挙に出馬し、当選。2008年、民主党入党。2009年に民主党秋田県連代表、2010年に民主党副幹事長に就任……といったプロフィールはWikipediaや、公式ウェブサイトで確認していただくのが一番でしょう。
『マンガ論争』では『マンガ論争勃発2007-2008』(永山薫&昼間たかし共編著、マイクロマガジン)時代の2008年頃から松浦さんに注目し、何度もお会いしていますが、松浦さんは一貫して表現規制に反対してきました。
では、ここで2008年、『マンガ論争勃発』サイト(永山薫&昼間)における松浦さんの最初のインタビューを振り返ってみましょう。
松浦大悟参議院議員インタビュー【第1回】今の国会にあるヤバさの正体(2008/02/29)
松浦大悟参議院議員インタビュー【第2回】国家の介入は「国民の自由を守るため」に(2008/03/01)
松浦大悟参議院議員インタビュー【第3回】フィルタリングがもたらす産業衰退の危機(2008/03/02)
松浦大悟参議院議員インタビュー【最終回】マスコミとオタクバッシングの地平(2008/03/03)
オタクバッシングについては、その後、オタクに対する批判、非難、差別が増加しているわけで8年の間に一体何が変化したのかということを考える上で興味深いでしょう。
その後の松浦さんの活動を見ても、この当時と基本的な姿勢が全くブレていないことがわかります。
小誌とのかかわりで言えば、2009年発行の『マンガ論争勃発2』(永山薫&昼間たかし共編著、マイクロマガジン)の「霧の中の児ポ法改定論議」(文・昼間たかし)に登場していただき、児ポ法とフィルタリングについて語っていただきました。
さらにその後も東京国際アニメフェア(TAF)の会場でも何回か顔を合わせました。
松浦さんの国会での活動は2007年10月30日の参議院法務委員会における初質問から、2013年05月15日の両院協議会まで計29回。主に参議院法務委員会における質問で、その内容は、自殺問題、いじめ問題、性的マイノリティと性同一性障害者の人権、冤罪、警察の取調調書捏造問題、取調可視化、少年法改正案、児童買春児童ポルノ法、アニメ悪影響論への批判などです。興味のある人は、国会会議録検索システムで、期間「平成19年10月〜平成25年05月」、発言者「松浦大悟」で検索すると全発言を読むことができます。
残念ながら松浦さんは2013年の参議院議員選挙で惜しくも苦杯をなめましたが、自殺問題、セクシュアルマイノリティの人権問題にも現在進行形で尽力されています。
■民進党と表現規制
ただ、今回の参院選出馬で、気がかりなのが松浦さんの所属する民進党の政策集2016に表現規制への一歩となりかねない文言が含まれている点です。
しかし、ご存知の方も多いと思いますが、民進党は民主党時代から、表現規制に賛成/反対/慎重な立場を取る議員が存在し、その中で規制に反対/慎重な議員が抵抗してきた経緯があります。問題視されている公約が表現規制に直結するか否かは民進党内での論議によって大きく変わってくるでしょう。その意味でも民進党が変な方向に走らないように、表現規制反対/慎重の立場を取っている民進党議員を増やす必要があると考えます。
(7月8日追記:その後、7月3日の街頭演説で東京都出馬の小川敏夫候補の応援に駆け付けた枝野民進党幹事長が「誤解を招きかねない表現があったが、アニメや漫画を規制しようというものではない」と明言したそうです。これによって混乱は終熄に向かいましたが、誤解を招きかねない文言が入ってしまったこと自体が問題だと思います)。
ご参考までに民進党で反対/慎重とされている候補者を挙げておきます。
北海道:鉢呂(はちろ)吉雄さん
宮城県:桜井充さん
東京都:蓮舫さん
東京都:小川敏夫さん(☆)
神奈川県:真山勇一さん
岐阜県:小見山幸治さん
佐賀県:中村哲治さん
民進党は除外するという人のためにさらに補足
北海道:長谷川岳さん(自民党)さん
東京都:田中康夫さん(おおさか維新)(☆)
埼玉県:伊藤岳さん(共産党)
新潟県:森ゆうこさん(無所属)(☆)
香川県:いそざき仁彦さん(自民党)
比例区:山田太郎さん(新党改革)(☆)
比例区:伊藤洋介さん(自民党)
比例区:西村眞悟さん(日本のこころを大切にする党)
比例区:串田誠一さん(おおさか維新)(☆)
比例区:福島みずほさん(社民党)
※:以上は「KITAJIMAのお絵かき研究所」の「2016 表現規制反対候補 第24回参議院議員総選挙 期日前投票に行こう!」などを参考にしました。反対/慎重候補の追加等、ありましたらお知らせください。なお、☆印をつけた候補者は、「表現規制反対の実績がある人」または「表現規制反対に期待できる人」です。
■決起集会ミニレポート
今回、残念ながら小誌取材陣は秋田まで行けませんでしたが、小誌でもおなじみの、うぐいすリボンの荻野幸太郎さんが参加されましたので、写真とコメントをご提供いただきました。
「6月19日に開催された松浦大悟元参院議員の決起集会に参加してきました。
松浦さんは、自殺対策や、LGBTの人権問題のエキスパートとして知られていますが、マンガ等のコンテンツの自由の擁護についても実績のある人物です。
性表現や暴力表現のようなセンシティブな問題については、規制に反対している議員さんの中でも、地元選挙区などへの配慮から、そういった政策について積極的に語らない方が多いのですが、松浦さんは、TwitterやFacebookで、いわゆる「規制反対派」のオタクの人たちとも積極的にコミュニケーションを交わし、みずからに寄せられた「児童ポルノ法改正の時に、マンガ規制に反対してくれてありがとう」といった内容のメッセージもどんどん紹介するような気さくな姿勢が際立っています。
決起集会では、キャッチコピーの「普通の人から豊かになろう」を前面に出して、特に若い世代の貧困解消を訴えていらっしゃいました」