■BDと漫画のアートなコラボレーション
7月22日。本サイトでも紹介してきた『ルーヴルNo.9〜漫画、9番目の芸術〜』展がスタートしました。
一足お先に内覧会で観覧させていただいたんですが、入ったとたん「サモトラケのニケ」の周りを漫画とBDのページが舞い、床に堆積しているというコラボレーションにびっくり。
展示の構成は次のようになっています。
第1章 The Great LOUVERE ~偉大なるルーヴル美術館~
展示作品:
エティエンヌ・ダヴォドー「寄り目の犬」
クリスティアン・デュリユー「魔法」
谷口ジロー「千年の翼、百年の夢」
フィリップ・デュピュイ&ルー・ユイ・フォン「坑内掘りの芸術」
ダヴィッド・プリュドム「ルーヴル横断」
第2章 Welcome to a Parallel World ~ようこそ、異次元の世界へ~
展示作品
マルク=アントワーヌ・マチュー「レヴォリュ美術館の地下」
エンキ・ビラル「ルーヴルの亡霊たち」
松本大洋「ルーヴルの猫」
エリック・リベルジュ「奇数時間に」
荒木飛呂彦「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」
ベルナール・イスレール&ジャン=クロード・カリエール「ルーヴルの空の上」
第3章 Beyond Time and Space 〜
展示作品
坂本眞一「王妃アントワネット、モナリザに逢う」
ニコラ・ド・クレシー「氷河期」
ヤマザキマリ「Palmyre au Musée 美術館のパルミラ」
五十嵐大介「ニケのうた」
寺田克也「ルーヴル消失」
以上、超特急で展示の一部を紹介しましたが。この他、オフィシャル・サポーター米津玄師さんのイラストも特別展示。
ミュージアムショップでは図録、Tシャツ、クリアファイル、缶バッジ、ポストカード、さらにはリベルターブルの焼き菓子セットも販売。
当然ですが、図録は絶対に買いです。函入り二分冊で、一冊が通常の図録、もう一冊は今回の展覧会に合わせて描き下ろされた寺田克也さん、坂本眞一さん、ヤマザキマリさん、五十嵐大介さんの短編を完全収録。これは貴重です。
全体を観た印象としては、質量ともにゴージャスで圧倒的でした。
漫画やBDが好きな人だけではなく、美術好きにもオススメです。
ただ、漫画とBDのコラボといっても、ややBD寄りでオシャレでハイソなイメージです。
漫画の展示も様々なアプローチがなされていますが同展はアート寄りというか、アートとしての側面を強調した構成になっています。
これを限界と捉えるか、新たなな漫画の読み方と捉えるかは様々だと思いますが、そうしたことを考える上でも重要な展覧会でしょう。
■内覧会レポート
自由鑑賞の部の前後に行われたセレモニーとフォトセッションについて簡単にまとめておきます。
冒頭のご挨拶に登場したのは、同展の総監修者であるファブリス・ドゥアールさん(ルーヴル美術館文化制作局出版部副部長)。続いて学術協力者として小池寿子さん(國學院大學教授)、イトウユウさん(京都精華大学国際マンガ研究センター研究員)が紹介されました。この展覧会でもメディア芸術祭でもおなじみの古永真一さん(首都大学東京准教授)は残念ながら欠席です。
小池さんは中世ヨーロッパのダンスマカブル(死の舞踏)の研究家ということで偶然かもしれませんが、坂本眞一さんの『王妃アントワネット、モナリザに逢う』に登場するサンソン(『イノサン』の主人公)が骸骨(死神)として描かれるカット(上の写真です)と合致しているのが面白かったです。またイトウユウさんが、展示に触れ、「普段、ページをめくって、早い速度で読んでいるマンガを、ここではじっくり眺めてみて欲しい」とおっしゃっていたのが印象的でした。
後半では出品作家をはじめ、同展ミューズの菜々緒さん、音声ガイド担当の神谷浩史さんが加わってのフォトセッションが行われました。考えてみればフランス語圏のBD作家と日本の漫画家の有名どころが顔を揃えるのはそうそうあることではありません。
上はその全員集合写真です。
前列左からクリスティアン・デユリエーさん、松本大洋さん、神谷浩史さん、菜々緒さん、ファブリス・ドゥアールさん、谷口ジローさん、フィリップ・デュピュイさん。
後列左からダヴィッド・プリュドムさん、坂本眞一さん、ベルナール・イスレールさん、ニコラ・ド・クレシーさん、五十嵐大介さん、エリック・リベルジュさん、エティエンヌ・ダヴォドーさん。
この後、坂本眞一さんと菜々緒さんのトークセッションとフォトセッションがあったのですが、次の取材が入っていたため、やむなく切り上げて、取材班は永田町へと向かいました。