60代以上なら高橋鐵先生のセクソロジー雑誌『あまとりあ』(龍胆寺雄、平野威馬雄=平野レミのお父さんなど当時の文化人が数多く執筆)、ハードボイルド小説誌『マンハント』の出版社であり、古手のSF者なら翻訳SFやミステリの「久保書店QTブックス」が懐かしいでしょうし、年季の入ったオタクならば何よりも『コミック・レモンピーブル』で周知の久保書店&あまとりあ社です。
昭和の佇まいがそのまま残る久保書店の事務所は築35年の木造2階建、床面積231平米。多くの作家、漫画家が執筆し、あるいはデビューしていったわけです。この社屋がこのほど取り壊されることとなりましたので、11月28日にダーティ・松本先生、早見純先生、しのざき嶺先生、稀見理都氏というなんだか濃すぎる面々と見学してきました。上の写真で、社屋に入っていくのが見学ツアーの面々です。
まず、2階。編集部です。かなり広いです。引っ越し準備中なのでぐちゃぐちゃです。何故、一升瓶がデンと置いてあるのかわかりません。右奥の「性」という書は、書家・俵越山(越前屋俵太)によるもので、素晴らしいんですが、壁に直接書かれているため、社屋と運命を共にするようです。そこらじゅうが資料、書籍が積んであります。
永山「取り壊しはいつからなんですか」
編集「12月1日です」
永山「間に合わねーw」
久保書店と言えばダー松先生というわけで編集部にも先生の本が……って、よく見たら新刊『奴麗蝶の乱舞』のそばには、『劇画ハンター』増刊の『闇の淫虐師』特集号が! その横の『漫画バイキング』も超貴重。『博多っ子純情』で一世を風靡した長谷川法世、後に松文館を立ち上げる季志もとのり、ほんまりう、向後つぐおの名前が!
続いて1階の倉庫に移動。実は今回で二回目ですが、いやもう、お宝の山ですよ。歴史的な貴重な本から最新の成年コミックまで膨大な本の山。
『レモン・ピープル』の棚です。国会図書館にも揃っていないという大変貴重な揃いです。
無造作に積まれた高橋鐵先生の著作。もちろん他にも大量にあります。
旧社屋から生み出される最後の成年コミックは海野やよい先生の『淫らな課外活動』ということになります。
阿島俊といえば故・米澤(米沢)嘉博氏のペンネームですね。言うまでもなく米沢さんは『レモン・ピープル』創刊というかロリコン漫画、美少女コミックの誕生に関わった一人。
これらの資料は別倉庫に移されますが、廃棄処分になる本もあるそうで、もっと早くにレンタカーで乗り付けて、物色したかったなーというのが正直なところ(ひどいヤツですね)。
それはさておき、久保書店関係で、またイベントができないか考え中です。来年になっちゃいますが、編集者と稀見理都氏とも相談中。お楽しみに。