2020年会場問題を都議選の公約に! 署名運動に注目

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■このままでは全イベント、見本市、ショーが大打撃を受ける
 2020年のオリンピックが東京で開催されることが決まった直後から、東京国際見本市会場(ビッグサイト)が競技会場に使われるとか、報道センターが置かれるという話が聞こえてきました。最初の頃はウエイトリフティング会場になるなんて話もあったはず。マンガ系ミニコミ誌である小誌的には、まず、コミケを筆頭に同人誌即売会がどうなる? というのが気がかりでした。
 最初の内は漠然と、
「2020年の夏コミは中止または延期。あるいは地方開催?」
 と考えていましたが。だが、そんな簡単なことではありませんでした。
 『マンガ論争』は毎年冬号に、コミックマーケット準備会の市川共同代表に一年の総括と今後の展望についてインタビューを行ってきました。会場問題については、常に「まだ、どうなるかわかりません」というのが回答でした。準備会内部では考えられることは全部想定し、検討していたと思います。例えば、コミケットスペシャルを幕張メッセで開催したのも、対応策を検討するためだったと記憶しています。
 確かに幕張メッセが使えるのならば、多少手狭にはなりますが、なんとかなったかもしれません。ところが、ご存知のように幕張メッセもオリンピックの競技会場に決まってしまったのでした。
 首都圏最大とその次に大きい会場が使えない!
 ビッグサイトもメッセも連日、イベントが開催されています。具体的には、2017年5月1日〜2017年7月31日までの『東京ビッグサイト イベントスケジュール』をご覧ください。
 これらのイベントの主催者、参加者が、
「了解しました、イベント中止しますよ」
 と言える場合はまだいいのですが、新製品発表、商談ができなくなる中小企業にとっては死活問題です。業績が悪化、下手をすれば、人員整理? 倒産? これから見本市に新製品を出して、契約取って、頑張ろうとしていた起業者の出鼻がくじかれます。発表が遅れたら、海外の他社に先を越されるかもしれません。
 同人誌は同人サークルがガマンすればいい? とんでもない。同人誌は誰が刷っているんですか? 同人誌印刷の仕事が激減したら?
 それと同じことが、ビッグサイトや幕張メッセを利用していた産業の全部で起きると考えてください。
 まさかとは思いますが、ビッグサイトや幕張が使えないなら、小さい会場を使えばいいと思っていませんか。二つの巨大会場が使えなくなったイベント主催者は中小規模の会場に殺到します。
 先頃、ビッグサイト側から示された対応策によりますと、会場が完全に使用できなくなるのは2020年7-9の3ヶ月間と多少短縮されました。2019年4〜6月は西展示場+青海展示場=52,480㎡、7月〜2020年4月は西展示場+南展示場+青海展示場=72,480㎡となります。2020年5-6月は青海展示場=23,200㎡のみ。2020年10-11月に西展示場+南展示場+青海展示場=72,480㎡、2020年12月以降は東1-8ホール、西展示場+南展示場-青海展示場=116,540㎡ということになります。
 多少は改善されたとはいえ、3ヶ月間は完全に使用できまぜん。また面積的には従来の半分、1/4という論外な期間もありますが、多くの期間、72,480㎡使用可能となります。数字だけ見れば、なんとかしのげそうに感じますが、青梅展示場がビッグサイトから1.5㎞離れています。ざっとゆりかもめ一駅分。ビッグサイト全体を使うイベントには大きな支障が出ます。
 ビッグサイト側からすれば、最大限の努力はしたということでしょう。
 そもそも見本市会場を国際放送センターとメインプレスセンターに使おうという計画自体が産業への被害を全く考えていません。
 後から言われて気付いて、弥縫策を考えたのではないでしょうか?

■会場問題を都知事選の争点に!
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 東京ビッグサイトとしてはこれが最終解答だそうです。「ウチもここまで頑張ったんだから、後はみなさんで上手く調整してください」というわけです。
 では、後は世論しかありません。世論を喚起し、都民の力で、2020年会場問題を解決するように求めていくしかありません。
 その方法のひとつが署名運動です。すでに日本展示会協会では「2020年の展示会場問題に関する 公式見解」への賛同署名「東京オリンピック・パラリンピックの成功と同時にビッグサイトの全展示会が例年通り開催できるよう請願します」を集めています。すでに15万筆近くの署名を集め、マスメディアの注目を集めました。
 これはこれで素晴らしいことだと思いますが、マスメディアや世論の耳目を集めるためにはもう一手欲しいところです。
 そこで山田太郎前参議院議員が提案し、スタートさせたのが「【都議選候補者殿】マンガ・アニメ・ゲームの自由を守ることと、コミケなどのビッグサイト会場問題の解決を都議選公約に入れて下さい!」という賛同署名です。こちらは都議選候補予定者に次のような要望を届けるための署名活動となります。

■ 都議会議員候補者殿
以下を都議選公約に入れて下さい
1.マンガ・アニメ・ゲームの表現の自由を守る
2.オリンピック・パラリンピック時のビッグサイト会場問題の解決

「そんなの別に山田さんが各候補者に要望書を送ればすむ話じゃないか?」
 と言う人もいるかと思いますが、ひとつには民意というか、どれだけの人がこの問題に関心を持っているか? 関心を持ち、解決を望んでいる人が多ければ多いほど、「力」が集まります。説得力が違ってきます。
 繰り返しになりますが、この問題は“オタク”だけの問題、同人誌即売会だけの問題ではなく、多くの産業が大きなダメージを蒙る問題です。日展協によれば2020年の7ヶ月間だけで約1兆2千億円の損失になるそうです。東京オリンピック開催による経済波及効果の規模は官民の試算に幅がありすぎますが、いずれの試算も「負の経済効果」については考えていません。建設業、観光業、サービス業など潤う業界もありますが、小規模な製造業は打撃を受けます。
 中小企業振興支援、起業家支援に取り組んでいる現職都議、都議選立候補予定者の方も多いと思います。
 この問題に関心を持っていただくための署名とアンケートだと思います。
 このエントリーを書いている時点で6,000筆を突破!
 1万筆まであと4,000筆です。
 すでに、西澤圭太都議、荻野みのる区議がコメントを寄せています。
 本誌も、今後の展開に期待しつつ、応援しています。

(5/14追記)
 2万筆を突破しました。
 直近の目標は2万5千筆です。

(永山薫)

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