『マンガ論争Sp.05』は5月12日コミティア初売りです




『MANGAの自由 平成から令和へ』(表現規制史出版会)と並行して進めていた『マンガ論争Sp.05』もコミティア128初売り確定しました。
内容は下図の目次をごらんください。

というわけで。「これだけじゃわかんねー」かもしれませんので若干、解説させていただきます。
まず、巻頭はろくでなし子さんの新連載マンガ『転校生のタカシくん』。別ネタでくるかと思ったら、どこかで見たようなムダに感じの悪いタカシくんを主人公に、どこかで見たことがあるようなキャラのオールスターズ快進撃! ちなみに、以前はアイルランドから原稿を航空便で送っていたなし子さんですが、最近はフルデジタル化完了。原稿の受け渡しが超楽になりましたので他誌さんも、お仕事を依頼してみてはいかがでしょうか? もっと仕事させて、もっと読まれていい作家だと思います。

連載マンガは谷口敬さんの超おフランスマンガ第4回『母が教え給いし歌』。前回の流れから、召使い少女の復讐路線になるかと思ったら、これまた意外な展開に。独立した短編として読むこともできますが、ホントにベテラン作家は油断できません。すでに第5回分も執筆されているとのことですので、『マンガ論争21』も刮目してお待ちください。全編超おフランス語ですので、おフランス語が堪能な方にもおすすめです。

インタビューは2本。
まず出馬表明直後の山田太郎さんを直撃。
「いつ決めたんですか?」
「なんで自民党なんですか?」
「党議拘束どうしますか?」
「どういう政策で臨みますか?」
と色々訊いてきました。
支持者の皆さんのみならず、山田さんは支持したいが与党自民党公認という点に抵抗がある人、迷いがある人、そもそも山田さんを支持していない人にこそ、判断材料として読んで欲しいと思います。

コミティア実行委員会の中村公彦代表には、ダウンロード規制強化問題から、2020年の即売会、創作系同人誌の現状、個人出版についてお話をうかがいました。
中でもSNS、ブログでマンガを初めて公開して、イイネが一杯ついて、それに後押しされて自主制作誌や電子出版へという流れがあるよねという話が興味深いです。
中村さんも筆者もマンガの話になると止まらなくなるので、誌面には入れられるだけ入れましたが、残念ながら全部は無理w

今号の特集は「忍び寄る私的検閲と新しい規制の波」。これ、結構充実していますよ。最近の流れとして公権力が露骨に表現に介入してくることが目立たなくなりました。その代わり民間のメディアが民間の表現を規制したり、民間のメディア自身が自粛したりというケースが目立っています。AFEE編集長・坂井崇俊さんの論文「デジタルプラットフォーマー時代の表現規制問題」はGAFAに代表されるデジタルメディアの寡占支配と表現規制の問題を解説。特集全体の入口として、それぞれの記事とも関連する好論文です。

『コンビニ自主規制を報じたネットニュースの失態』は、BuzzFeed Newsが「『誰かを傷つけていることを、知ってほしい』成人誌がコンビニから消える意味」を「削除」した問題を採り上げています。あたかもコンビニでエロ本が立ち読み自由であるかの如き、誤った記事内容も問題でしたが、批判を浴びて一部削除→記事全体を黙って「削除」という対応には驚きました。BuzzFeedが掲げる報道姿勢とも矛盾しており、過度の自主規制どころか自主検閲と呼ぶべきかもしれません。

『電気グルーヴ音源回収・配信停止措置と6万4千人の署名』は、この問題を追っている川口有紀さんの寄稿。「不祥事→作品封印」はピエール瀧の案件だけではないし、昔からありました。「誰か一人が不祥事を起こせば関係者全員にダメージが及ぶ」という江戸時代の五人組制度みたいだなと感じました。送り手側の責任として何らかのアクションを起こした方がいいというのは一応理解できます。しかし、それが謝罪にとどまらず「封印が当たり前」になっていくのは一種の頽廃だし、それをマスメディアが後押しするのは危険です。その意味で、ソニー・ミュージックレーベルズの措置に疑問を呈した署名が6万4千筆集まったのは極めて健康な反応だと思うのです。詳しくは記事を読んでください。

佐藤圭亮副編集長の「『マンガ論争』が児童ポルノとして扱われた日」は、本紙が巻き込まれた笑えない珍事について記事です。BOOTHにおいて電書販売を行っていた『マンガ論争Sp.03』がある日突然、BOOTH事務局によって「18禁」扱いされてしまいました。通告によれば説明文内にあった「児童ポルノ」という文言が問題とされたのですが、即日抗議したところ、速やかな謝罪と現状復帰が行われましたが、BOOTH事務局は小誌の取材要請には一切応えず、取材拒否の姿勢を貫いています。この「事件」の背景にはクレジットカード会社のロボット検索結果を鵜呑みしたBOOTH事務局が機械的に行った杜撰な措置に起因するもののようです。運営側自身がガイドラインを逸脱し、安易に過度の自主規制を行ったという事実は謝罪や現状復帰のみで消すことはできません。

『実効性希薄なDL規制拡大は萎縮と法律軽視を生むだけ』は当サイトでレポートした「違法ダウンロード範囲拡大を考える院内集会」のリライト版です。登壇者それぞれの発言も重いのですが、中でも一番クリティカル・ヒットなのは大屋雄裕教授の、実効性の薄い法律が、法律への敬意を失わせるという主旨の指摘。そもそも法律を作る側が「音声・動画DLの違法化でも誰も捕まってませんから、範囲を拡大しても安心してください」って言っていいんですかね?

■イベント情報
■コミティア128
 時 間:2019年5月12日(日曜)11:00〜16:00
 場 所:東京ビッグサイト青海展示場Aホール
     最寄り駅:りんかい線「東京テレポート」下車徒歩約2分
         ゆりかもめ「青海」徒歩約4分
         ゆりかもめ「お台場海浜公園」徒歩約6分
         都営バス「東京テレポート」徒歩約2分
 マンガ論争取材チーム 企業出展23番 Aホールに入って右折し直進 見本誌コーナー前の角

■委託販売
『MANGAの自由 平成から令和へ』(表現規制史出版会)
 上記MAPのAFEEスペースがメインですが、ウチでも委託販売します
永山薫『増補エロマンガ・スタディーズ』(ちくま文庫)
稀見理都『エロマンガ表現史』(太田出版)
稀見理都『エロマンガノゲンバ』(三才ブックス)


    

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