[/caption]京都国際マンガミュージアムで開催中の「土田世紀展」に行ってきました。当日は日本マンガ学会の大会2日目、シンポジウムが開催中ということもあって、ミュージアムではマンガ関係者の姿もちらほら。
さて、肝心の土田世紀展は、ミュージアム特有の「迷路の先」。このへんが他の美術館などとは違うところです。歴史ある小学校の校舎を利用しているため部屋が教室単位なんですね。なので、廊下を進んで、階段上って……という感じ。
展覧会としては珍しく撮影オーケー。ただしストロボ禁止。暗いのでISO上げて、絞り開いて、脇締めて撮るべし。
ほとんどの人が展示室に踏み込むのをためらう。床一面の原稿。アクリル板を敷いてあるので、直接踏むわけではないが、なんだかものすごい冒瀆であるような、土田世紀の「踏まれるくらいどうってことないぜ」的な心意気を感じるというか、いやもう、とにかくスゴイんだわ。もちろんご遺族のオッケーあっての展示方法だろうが、現代美術もビックリの(すでにそうしたインスタレーションはあったと思うが)展示であります。
初老の紳士かしゃがみ込んで鑑賞してらした。としらじらしく書きましたが、夏目房之介さんだよ。夏目さんはすごく嬉しそうに原稿を眺めていた。その後、別室に置いてある会場ノートに筆ペンで土田世紀展のポスターを模写して感想を書かれてました。これから展覧会に行く人は見ることができる(と思う)。ちなみに会場ノートには海外(台湾、フランス、アメリカなど)から来た人が大勢書き込んでいる。あと、子供ね。
作品にスライドを投影している。絵に近づくと自分のシルエットが作品にかぶさる。土田世紀のマンガの一部になったかのような不思議な感覚。
というわけで駆け足で観て廻りました。巡回展にして欲しいと思いましたが、この展示方法はここだけでしかできないでしょうね。
関西圏在住だったら行かないと損ですよ。会場のショップで図録(未発表作品「やりきれない気持」や青野春秋、新井英樹、信濃川日出雄のトリビュートコミックを収録した記念本『SEIKI』)を購入すると複製原画が一枚ついてくる特典があるし、えすとえむ、上條淳士、すぎむらしんいち、日本橋ヨヲコ+木内亨、松本大洋がそれぞれの表紙をトリビュートイラストで飾る会期中限定オンデマンド選集本『SEIKIのアンソロジー』全5巻もあるし。(編集長・永山薫)
■土田世紀全原画展
■会場:京都国際マンガミュージアム2階ギャラリー1+5+3、6
■会期:2014年5月31日〜8月31日
(7月10日〜8月31日は無休。それ以外は水曜休館)
10:00〜18:00(最終入館は17:30)
■料金:無料
(ミュージアム入館料は別途必要。大人800円、中高生300円、小学生100円)
■松本大洋×新井英樹×すぎむらしんいちトークショー「土田世紀を語る」
■会場:京都国際マンガミュージアム1階多目的映像ホール
■日時:2014年7月27日 14:00〜16:00
■定員:200名先着順(当日10:00より整理券配布)
■シンポジウム:マンガ原画のアーカイブを考える「1万8千枚の土田世紀のマンガ原稿をどうする?!」
■会場:京都国際マンガミュージアム3階研究室1
■日時:2014年8月31日 14:00〜16:00
■定員:50名先着順
■出演者
江上英樹(『IKKI』編集長、土田世紀担当編集者)
大石卓(横手市増田まんが美術館担当)
羽倉佳代(土田世紀著作権継承者)
小川剛(崇城大学芸術学部教授)
吉村和真(京都精華大学マンガ学部教授)
伊藤遊(京都精華大学国際マンガ研究センター研究員)